自分を騙して全力で逃げて逃げて隠れて泣いて逃げて未だに逃げ続けている俺に何かを言う資格なんてこれっぽっちも無いけど。
 苺ましまろの二巻はまだ本棚に置いてあって、たまに手にとって読んだりする。
 礼も謝罪も別れもどんな祈りも俺が口にする資格はない。資格なんてない。どんなに逃げても忘れられたことがない。逃げられない。
 ただ苺ましまろが、本棚にある。そこにまだある。